「苦しみはひとりで」鍵山秀三郎
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■「苦しみはひとりで」鍵山秀三郎
いままで私は、決して楽な人生ばかりを過ごしてきたわけではありません。
いま現在も、悩んだり迷ったりしながら生きています。
ただ、どんなときでも常に心がけてきたことは、自分の悩み事のために
周りの人まで巻き添えにしてはならないという強い自戒の念。
「悩み苦しむのは、自分ひとりで十分」だと自分自身に言い聞かせて生きてきました。
もともと私は、自分の悩みや苦しみを人に相談したことがありません。
もちろん、妻や家族にも。
私ひとりが心配すれば済むことを、二人でしても仕方ないことです。
心配事は私ひとりで引き受けて、他の人にはできるだけプラスの仕事をしてもらう。
心配事をする人が多いからといって物事がよくなるわけではありません。
私は心配事を人に相談しないばかりでなく、悟られることさえも気遣っています。
苦労したことをそのまま顔に出す。
このことは、誰にでもできることです。
反対に、苦労したことのない人が、いつも明朗な顔でいる。
これも、そんなに難しいことではありません。
しかし、さんざん苦労したにもかかわらず、
まったく苦労の痕(あと)を見せずに人と接することは、なかなかできないことです。
できれば苦労の痕を悟られずに人と接する。
忘れてならない、大事な作法だと思います。
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苦しみをひとりで背負っているか?
私はこんなに苦労したと、自慢ばかりしていないか?
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