「ベクトルをそろえる」稲盛和夫
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「ベクトルをそろえる」稲盛和夫
人間は、個として生まれ、自由に生きているのですから、
いろいろな発想をする人があってもいいと思います。
組織においても、各人が全く自由な発想のもとに行動し、
それでいて調和がとれているというのが、最高の姿だと思います。
しかし、私の経験からすれば、これは理想であって、
実際のところは力がそろわず、決してうまくいくことはありません。
歴史を見ても、勝手な連中が集まって長く栄えた集団はありません。
集団を構成する、個々の人々の志向が分散してしまい、
大きな力を発揮し続けることができないからです。
そのため、つねに集団のベクトルをそろえておく必要があるのです。
ベクトルをそろえるとは、考え方を共有していこうということです。
人間として考え行動していくための、最もベーシックな哲学をともにし、
それを座標軸に、各人が持てる個性を存分に発揮していこうということなのです。
同好サークルならば、自由な発想と個性の発揮だけでいいでしょう。
しかし、目的を持った集団(会社)であれば、
価値観を共有してはじめて、達成への永続的、集中的な取組みが可能となるのです。
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経営理念とは、このベクトルをそろえるためにあります
経営理念とは、価値観を共有するためにあるからです
同好会には経営理念は必要がないのかもしれません
しかし、企業には経営理念が必要なのです
経営理念を持つことで、はじめて全従業員の価値観が共有されます
経営理念がなければ、ある判断でAさんは右と言い、Bさんは左と言います
それではベクトルがそろわない
社員のモチベーションが続かない
ベクトルをそろえて、始めて企業の力が発揮されるのです
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