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中條高徳氏 おやじの弁当 日本人の気概 リーダーとは


 「おやじの弁当」   中條 高徳


その昔、我が国はいまの若者たちが
考え及ばないほど貧乏な国であった。


しかし、その頃の家庭には
ぬくもりがあり、総じて明るかった。


親子の情は濃く、長幼の序は厳しく、
そして礼儀正しかった。


母親は総じて寡黙でつつしみ深く、
人前、とりわけ子供の前では父親を立てた。


来日した著名な外国人たちが、
口を揃えて


「礼節の国」「道義ニッポン」


と讃えてくれた国でもあった。


60数年前、世界の大国と戦い、
そして敗れた。


戦後は食べる食なく、着るに衣のない
どん底の生活を体験しながらも、
我が民族は汗と涙で経済大国日本を築いてきた。


民族の底力と誇っていい。


しかし、富(豊かさ)の構築とほぼ比例するように、
表現を変えれば、築き上げた富と引き換えるように
民族の美点、長所を失ってきた。


悲しいまでの現実の日々である。


著者にとって大事なお得意先であり、
長い知り合いの経営する「三笠会館」
という有名なレストランが銀座にある。


創業者の谷さんは奈良のご出身であり、
在家仏教で名を成した方でもあった。


その三笠会館より以前発行された
『るんびにい』241号で
故・樋口清之教授(国学院大学)の随筆が
戦前の家庭の姿、親子の生き様を語って
余すところがない。


樋口さんの友人で、よく貧乏に耐えて
勉学にひたむきに努める人がいた。


その友人が勉学に励んだ動機は、


「おやじの弁当」


だという。


彼はある日、母が作る父の弁当を
間違えて持って行ってしまった。


彼曰く、


「おやじの弁当は軽く、俺の弁当は重かった。

 おやじの弁当箱はご飯が半分で、
 自分のにはいっぱい入っており、
 おやじの弁当のおかずは
 味噌がご飯の上に載せてあっただけなのに、
 自分のにはメザシが入っていたことを、
 間違えて始めて知った。

 父子の弁当の内容を一番よく
 知っている両親は黙して語らず。
 肉体労働をしている親が
 子供の分量の半分でおかずのない弁当を持ってゆく。

 これを知った瞬間、
 『子を思う親の真(愛)情』が分かり、
 胸つまり、涙あふれ、その弁当すら食べられなかった。

 その感動の涙が勉学の決意になり、
 涙しながら両親の期待を裏切るまいと
 心に誓った」


という。


それに引き替え、
戦後の私権の主張のみに急な世相の中では、


「お父さんの弁当の中身は少ないが、
 お前のはちゃんとした弁当だから頑張れ」


などと発言しがちであるが、
それでは


「恩、愛の押し売りはごめんだ」


と生意気な子供の言葉が
はね返ってくるのがオチであろう。


この「おやじの弁当」の心こそ、
仏道で説く「陰徳」の妙法であり、
「慎独」の実践なのである。




『致知』2009.01 連載「巻頭の言葉」より



「『致知』が唱えている人間学の不足がいまのだらしない日本に繋がっているんですよ。
 ですから、私は人間学を一心不乱に説いている
 『致知』に最も期待して、感謝している。

 そして、ここをよく聞いて!

 国家がこのままでは乱れんとする、廃れんとする、
 それを救うのはこの人間学の道しかないと私は信じている。

 その道を一所懸命にやってくれているから、心臓の大きな手術をしてでも、
 もうやむにやまれないできょう駆けつけたんです」


地位で人を率いるな 弾は後ろから来る

【慎独】一人でいるときほど身を慎め

ピンチをチャンスと置きかえられる明るい性格を持たぬ者は指揮の座をされ!と教えられた

国家とは何か?民族とは何か? 日本人の誇りを持つ

志なきは舵を失った船のごとし


1夢を失った民族は滅びる
2ものを全てと見て心を失った民族は滅びる
3自国の歴史を見失った民族は滅びる



おじいちゃん戦争のことを教えて―孫娘からの質問状  中條 高徳 (著)
http://tinyurl.com/ny3srkw



中條高徳氏はランチェスター戦略の信奉者であり
わたしの第1回目のランチェスター戦略の講演を一番前の席で聞いて頂いた方です

本にサインをお願いしたら「君の、坂上仁志って、いい名前だね」とほめて頂きました
真ん中の筋をいく高い徳の中條高徳氏ならではのコメントでした


8月15日には繾國神社でもタキシードを着た中條高徳氏とお会いしたことがあります

「繾國」七百号を祝して−−を読み、手紙を出したところ「和紙で毛筆の返事」を頂きました

今までもらった中で最も素晴らしい手紙といえます

最後に事務所でお会いしたのが平成25年12月16日でした
ありがとうございました

平成26年12月24日永眠

ご冥福をお祈り申し上げます

合掌

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