成果や資源は、企業の内部にはない。いずれも企業の外部にある
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成果や資源は、企業の内部にはない。いずれも企業の外部にある
およそ企業の内部には、プロフィットセンターはない。内部にあるのは、コストセンターだけである。
技術、販売、生産、経理のいずれも、活動があってコストを発生させるということだけは、確実である。
しかし、成果に貢献するかどうかはわからない。
成果は、企業の内部にいる人間や、企業の支配下にある何者かによって決まるのではない。
市場経済における顧客、統制経済における政府当局といった外部のだれかによって決められる。
企業の活動が、成果を生むか、無駄に終わるかを決定するのは、企業の外部にいる人間である。
同じことは、あらゆる企業にとって、独自かつ唯一の資源たる知識についても言える。
資金や機械設備など、知識以外の資源は、いかなる企業にとっても独自の資源ではない。
企業を差別化する唯一にして特有の資源は、科学技術から社会、経済、経営に至る知識を活用する能力である。
企業が市場において価値あるものをつくれるのは、知識のおかげである。
しかし知識そのものは、特定の企業だけの資源ではない。
知識は、普遍的かつ社会的な資源である。知識は、長期にわたって秘密にしておくことはできない。
「だれかにできたことは、ほかのだれかが行う」ことは、昔からの常識である。
したがって、知識という企業にとって決定的な資源も、企業の成果と同じように、企業の外にある。
まったくのところ、企業とは、外部にある資源すなわち知識を、外部における成果すなわち経済的な価値に転換するプロセスであると定義することができる。
創造する経営者 P・F・ドラッカー