成果は、単なる有能さではなく、市場におけるリーダーシップによってもたらされる。
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成果は、単なる有能さではなく、市場におけるリーダーシップによってもたらされる。
利益とは、意味ある分野において、独自の貢献、あるいは少なくとも差別化された貢献を行うことによって得られる報酬である。
そして、何が意味ある分野であるかは、市場と顧客が決定する。
すなわち利益は、市場が価値あるものとし、進んで代価を支払うものを供給することによってのみ得ることができる。
そして価値あるものとは、リーダー的な地位によってのみ実現される。
唯一の例外は、一角獣のごとく珍奇な存在たる純粋独占によって得られる利益だけである。
しかしこのことは、業界において巨人でなければならないということでも、製品や市場や技術においてトップの地位を占めなければならないということでもない。規模が大きいということと、リーダー的な地位を占めるということは、同じではない。
多くの業界において、最大手でありながら、利益率では最高でないという企業は多い。
多くの製品を抱え、多様な市場を相手にし、多様な技術をもたなければならないために、ユニークな仕事はもちろん、多少なりとも差別化された仕事さえ不可能だからである。
したがってむしろ、二番手、あるいは三番手の方が、望ましいことが多い。
リーダーシップを発揮できるような市場の一分野、顧客の一階層、技術の一応用に集中できるからである。
いかなるリーダーシップも、うつろいやすく短命である。
しかもリーダーシップ上の地位は、確固たるものたりえない。
業績をあげる場たる市場や、資源たる知識は、だれの専有物でもない。
したがって、いかなるリーダーシップも、一時的な優位性にすぎない。
物理の世界と同じように、企業の世界においても、エネルギーは常に拡散する。
創造する経営者 P・F・ドラッカー