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「企業買収6つの原則」P・F・ドラッカー 

「企業買収6つの原則」 P・F・ドラッカー


企業買収は成功してしかるべきものである。
しかし、実際に成功しているものは少ない。

企業買収は成功してしかるべきものである。
しかし、実際に成功しているものは少ない。

不首尾の原因は常に同じである。
周知のものであるはずの企業買収の六つの原則が守られないためである。

第一に、企業買収は、金銭上の操作ではなく事業上の戦略にもとづいて、はじめて成功する。
第二に、企業買収は、買収する側が買収される側に貢献して、はじめて成功する。

第三に、企業買収は、買収する側と買収される側との聞に、
市場、マーケティング、技術、卓越性などの共通の核があって、はじめて成功する。

第四に、企業買収は、買収する側が買収される側の
製品、市場、顧客、価値観に敬意をもって、はじめて成功する。

第五に、企業買収は、買収した側が買収された側に
一年以内にトップマネジメントを送り込むことができて、はじめて成功する。

第六に、企業買収は、買収した側と買収された側の双方の者を多数大幅に昇進させて、はじめて成功する。

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■財務分析ではなく事業戦略にもとづく買収が成功する。 

 
買収のターゲットは事業戦略によって選ばなければならない。 さもなければ失敗する。 

失敗の典型がW・R・グレイスのCEO、ピーター・グレイスによる一連の買収だった。 

一流のアナリストを擁し、株価収益率から見て買い得の企業を買収していった。 財務分析は完全だったが、事業戦略がなかった。

その対極にあったものが、一九八一年から二〇〇一年にかけてジャック・ウェルチが CEOをつとめていたGEだった。

とりわけ子会社GEキャピタルによる企業買収だった。 

証券会社買収の失敗もあったが、全体的には驚異的な成功率だった。 そこには事業戦略があった。 

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■企業買収は、買収する側が買収される側に何を貢献するかによって成否が定まる。 


企業買収はいかに相乗効果が大きそうに見えようと、買収される側が買収する側に何を貢献するかではなく、 

買収する側が買収される側に何を貢献するかを検討しつくして、はじめて成功する。 

 

もちろん、買収する側が貢献するものは多様である。 

マネジメント能力であることもあれば、技術上あるいは流通上の強みであることもある。 

だが、それは金以外のものでなければならない。 金で十分ということはありえない。

 

 トラベラーズによるシティパンクの買収は、 買収する側のトラベラーズがシティバンクに貢献できるものを検討しつくしていたがゆえに成功した。 

 シティパンクは世界中に進出し、かつグローバルなマネジメント体制を確立していた。 

 

 しかし、扱う金融商品が時代遅れになっていた。 幸い、トラベラーズは優れた金融商品を揃えていた。

 トラベラーズは、シティの優れたマネジメント能力と流通システムに貢献することのできる商品をもっていた。

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 ■企業買収には共通性 少なくとも類似性が必要である。

 

企業買収による多角化では、事業聞に共通性あるいは類似性がなければならない。 

市場の共通性、あるいは技術の共通性が必要である。 業務プロセスの共通性であってもよい。 

 

それらの共通性なくして、多角化とくに企業買収による多角化が成功することはない。 

所有による支配では不十分である。 

 

高級品市場で成功したあるフランス企業がある。 

シャンパン、ファッション、高級腕時計、香水、ハンドメイドの靴を扱っている。 

 

脈絡のない業容に見える。 共通性がないかに見える。

しかし、すべてが価格や有用性以外の価値で売れる製品である。 

 

高級だから売れるものである。 事業間には顧客価値に共通性があった。 

シャンパンとファッション製品では売り方は異なる。 しかし、買われる理由は同じだった。

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■企業買収には事業間に体質の一致がなければならない。 


企業買収は、買収する側が買収される側の製品、市場、顧客に敬意をもたないかぎり成功しない。 

製薬会社による化粧品会社の買収が大成功したという例はあまりない。 

 

薬学者や生化学者は、病気や健康を研究する硬派の人たちである。

口紅に重大な関心をもつことはあまりない。

 

同様に、出版社の買収で成功したテレビ局もあまりない。 

本はメディアではないし、本の読者や著者は視聴者とは異なる。 

 

事業には必ず意思決定の場面がある。 

そのとき、事業、製品、顧客に違和感をもつ者は間違いをおかす。 

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■買収された側のトップにしてみれば事業は自分の子供である。 


企業買収においては、買収した側が買収された側に、 ほほ一年以内にトップマネジメントを送り込むことができなければならない。 

 

買収された側のトップは早晩いなくなるものとしなければならない。 

彼らはトップであることに慣れた人たちである。事業部長などでありたくはない。 

 

オーナー経営者であったのであれば、大金を手にしており、面白くもないのに留まっている理由はない。 

サラリーマン経営者であれば、トップの地位は他所で手に入る。 

 

ところが買収した側としては、 買収したばかりの事業に外からトップを連れてくるわけにはいかない。 

リスクが大きすぎる。 買収された側のトップが、創業者であって買収されることを歓迎していたものとする。 

 

自分にはできなかったことが行なわれることは覚悟している。 

しかし、友人である古い従業員が整理されるかもしれない。 

 

このトップにしてみれば、事業は自分の子供である。 

したがって、子供を守ることが自分の仕事になってくる。

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■買収された側は「彼ら」に対して身構える「われわれ」になる。 


企業買収にかかわる心得をすべて遵守したとしても、買収の多くは失敗する。 

あるいは、いつになっても期待した成果があがらない。 

 

法的には、買収された事業は買収した側の一部となっている。

しかし政治的には、買収された側は、「彼ら」に対して身構える「われわれ」になっている。

 

買収した側も、「彼ら」に対する「われわれ」になっている。 

場合によっては、目に見えないこの鉄のカーテンが消えるのに一世代を要する。 

 

したがって、買収後数か月の聞に双方の人間を相互に異動させ、 かつ昇進させることが重要な意味をもつ。

こうしてはじめて、買収が双方の側の一人ひとりにとって機会として理解される。

 

大事なことは、買収が機会であることの理解である。 

このことは、トップ近くの者だけでなく、事業の担い手たる若手のマネジメントやスペシャリストについてもいえる。 

 

万一にも買収によって道が塞がれたと感じるならば、彼らは簡単に辞めていく。 

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M&Aの成功条件
 

自ら経営する自信がなければ買収しない
M&Aは買収プレミアムを支払った時点でマイナスからのスタートそれを上回るシナジーを作ること
 

PMIで100日以内にやるべきことを決めてから買収する経理を統合し、資金の動を把握する
どの企業を買うかよりも、買収した企業とのPMIを徹底する

まずは小さな企業を買収することでM&Aの知識を体得する

PMI =ポストマージャーインテグレーション
経理、意思決定体制、業務インフラ、営業組織を統合する必要なリストラをする

中小企業のM&A成功事例
 

アインファーマシーズ= 西日本ファーマシーなど600店舗の半分をM&A、EBITDAで7倍以上は買収しない

イエローハット=モンテカルロ、アップル

コロワイド=レインズ、カッパクリエイト
 

マクロミルはベインキャピタルの参加に入り非上場後オランダのメトリクスラボを子会社化し海外展開
 

カルビーはペプシコから株を20%入れて同族経営を廃止、プロの経営者に任せた

ミツカン酢は売り上げ1000億のところで、ユニリーバの子会社から2000億円買収し、海外展開

大企業成功例
 

JTのMA =イギリスギャラハー、2兆円

ブリヂストンはファイアストン買収売り上げ1兆円から3.5兆円へ
 

富士フイルムとコダックの事例=古森改革

日本電産46社をM&A
 

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MAの成功率は20〜50%といわれ

日本企業の海外企業買収成功率は5%程度と言われている

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