「人間としての成功」松下幸之助
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天は二物を与えず、ということわざがありましょう。
これは裏を返せば、天は必ず一物は与えてくれているということだと思うのですね。
そのように、異なった天分、特質が与えられているということは、
いいかえれば万人万様、みな異なった生き方をし、
みな異なった仕事をするように運命づけられているとも考えられます。
ある人は政治家として最もふさわしい天分が与えられているかもしれない、
またある人は、学者に、技術者に、商人にといったように、みなそれぞれに異なった使命が与えられ、
異なった才能が備えられていると思うのです。
成功というのは、この自分に与えられた天分を、
そのまま完全に生かし切ることではないでしょうか。
それが人間として正しい生き方であり、自分も満足すると同時に働きの成果も高まって、
周同の人々を喜ばすことにもなると思います。
そういう意味からすれば、これこそが“人間としての成功”といえるのではないでしょうか。
ですから、当然、成功の姿は人によって異なってきます。
ある人は大臣になってその任を果たすことが成功であるかもしれませんし、
ある人は野球選手になって活躍することが成功かもしれない。
つまり、社会的な地位や名誉や財産が成功の基準になるのではなく、
自分に与えられた天分に添うか添わないかということが成功の基準になってくると思うのです。
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社会的な地位や財産だけを成功の基準にするのではなく
自分に与えられた天分を生かすことが成功である
人間一人ひとり、それぞれがパズルのピースのようなもの
どれ一つ欠けても世界は存在しない
仮に、自分に特別な才能を与えられたとしたら
その才能を私物化することなく、世のため人のために使う
仮に、自分に才能がないように思えたとしても
天は必ず一物は与えてくれていると信じる
そう思うことで、人生は開けてゆくのではないか
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