「自らの事業を知る」P・F・ドラッカー
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重要なことは自らの事業は何かを知ることである。
自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないかに思われる。
鉄鋼会社は鉄をつくり、鉄道会社は貨物と乗客を運び、
損害保険会社は火災のリスクを引き受け、銀行は金を貸す。
しかし実際には、われわれの事業は何かとの問いは、
ほとんど常に答えることの難しい問いである。
正解は決して明らかではない。
事業は、社名や定款や設立趣意書によって定義されるのではない。
顧客が満足させる欲求によって定義される。
顧客を満足させることが、企業の使命であり目的である。
したがって、われわれの事業は何かとの問いは、
外部すなわち顧客と市場の観点から見て、はじめて答えることができる。
顧客が見、考え、思い、欲しがるものを客観的な事実として、
セールスマンの報告、技術者の実験、会計士の数学と同じように
正面から受け止めなければならない。
顧客の心を読もうとするのではなく、
顧客自身から直接答えを得るべく意識して努力しなければならない。
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つくり手がつくりたいものを提供するのではなく
顧客が欲しいものを提供する
顧客の視点から見て初めて
自らの事業を知ることができる
高級車はその性能を販売するのではなく
高級車を持っているという気分を販売する
自動車を買っているけれども、自動車ではなく
宝飾品を買うのと同じ気持ちで買っている
顧客から直接、その気持ち、考えを聞く機会を
持ち続けなければならない
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