「原点を見失わない」稲盛和夫
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「原点を見失わない」稲盛和夫
山登りをしていて、ガスに包まれ視界ゼロという状況で、
分岐点に行きあたるたびに進路を判断していては、ルートを見失って遭難(そうなん)してしまいます。
このようなときは、再度ベースキャンプに戻ってやり直すことがいいと言われます。
これは、新規事業に乗り出すときや、未踏(みとう)の研究分野に挑戦するときにも当てはまることです。
このような新たな領域では、何度も壁にあたり、行き詰まることを経験します。
そのような局面では、当面の問題点の克服だけに終始してしまい、
なんとかクリアしたとしても、目標に対して若干のズレが生じることがあります。
そして、何度もこの当面の解決を行ううちに、
いつのまにか当初の目標からは大きく逸脱(いつだつ)してしまうのです。
本人はいくつもの障がいを越え、「よくやった」と自ら慰め、
「まあ、このくらいでいいだろう」と満足しているのですが、
結果は成功とはほど遠いものになってしまっているのです。
その場限りの判断をし、原点に立ち返らないために、このような結果を生むのです。
原点を見据え、ものごとの本質に立脚した判断こそが、
未踏の領域で成功をもたらすのです。
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誰もやったことがない領域で開発を進める
何の前例もない中で新しい研究をする
答えはどこにもなく
誰も教えてくれない
真っ暗で何も見えない夜に
一人で大海原を航海するようなものです
そんな時に、その場限りの判断をしていると
同じところをグルグルとまわっているだけになってしまう
だから、心の羅針盤をハッキリと持ち
いつも原点を見失わずにいることが
前例のない事柄をするときに大切となる
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