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愛育の恩とか、教育の恩とか、生み育てた恩、これが父母の恩であるが
それが自然のうちに行われるので、恩の感じがしない
何十年も同じ家に住み、ともに健康で
苦しみに出会ったことなどない親子の間には
ほとんど親子として意識がない
親の恩は、親が亡くなって初めてしみじみと感ずるという
苦しみによって初めて人は、人らしい意識の自覚を得る
親に対する恩の自覚も、これに対する報恩の生活(孝行)も
実は苦難という人生必須の妙法によって世にあらわれたことは
いみじき現象である
丸山敏雄
とすれば、親の恩は苦難にあわなければわからない
従って、苦難を乗り越えたものでなければ親の本当の恩はわからない
裏を返すと、親の恩がわからぬということは
苦労をまだ知らぬということになる