ヤングドライ(富山県)は富山県、石川県のクリーニング店舗数でNO1。
同社は、売上35億円、直営店と取次店を合わせた店舗数が620店という
地場最大手のクリーニング店(2010年現在)。
店舗は、福井県、滋賀県、新潟県、愛知県と隣接県にも出店していますが、
決して飛び石を打ちません。
小学校区を1つの商圏エリアとし、狭い地域でNO1を目指し、それを1つ、また1つと増やしていくやり方です。
多くのお客様の支持を得たいとチェーン展開していますが、根本にはしっかりした戦略があります。
経営理念として「小さく、狭く、濃く、深く考える」を持つため、地域に根差した商売のやり方を重視。
「利益を生むのは1位の企業」との考え方から、地域NO1戦略を徹底。
大通りに面した大型の基幹店は、広告塔も兼ねた大きなアヒルのキャラクターが目印。
また、Yシャツ1枚100円は、原価から計算した価格設定ではなく、
お客様が買いやすい価格かどうかを判断基準にして設定されています。
3時間仕上げ、年中無休、リフォーム、リペア対応、クリーニングの宅配、
冬物衣料の次の季節までの保管サービス、駐車場の用意など、「来店動機」を高める差別化施策を続々と実施。
布団の丸洗いサービスは、東京のお客様からの注文まであるとか。
地域NO1戦略と差別化戦略の見本のような会社です。
ー 地域密着のクリーニング店 ー
川崎市の住宅街の真ん中にポツンと1店舗だけあるクリーニング店の例。
戸建住宅が多い地域で、「クリーニング屋さんに持っていかなくても電話1本でとりにお伺いいたします」
という営業スタイルが差別化要素。
通常は人通りの多い商店街に店を構え、洗濯物を持ってきてもらう営業スタイルですが、
その逆をやるわけです。でも、価格はちょっと高め。
ヤングドライさんの2〜3倍の価格設定。でも、大丈夫。
半径1キロ以内の、戸建住宅を持つ、ちょっと裕福な優良顧客だけを対象とした地域戦略で、
もう30年以上も商売を続けています。
決して多店舗展開をせず、1店舗だけ。
「持っていくのは面倒くさいな」という顧客要望にこたえる地域密着の「局地戦」の商売のやり方です。
限定された顧客だけを対象とすると、家族構成や持っている服まで分かりますから、
「そろそろコートを出したらいかがでしょうか?」なんて、お客様が忘れていたことまで気づいてくれます。
ここまでいくと、接近戦も成功です。