卓越性の追及 P・F・ドラッカー
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卓越性の追及
貢献に焦点を合わせるならば、部下、同僚、上司を問わず、他の人の自己啓発を触発することにもなる。
属人的な基準ではなく、仕事のニーズに根ざした基準を設定することになる。
すなわち卓越性の要求である。
強い意欲、野心的な目標、大きな影響力のある仕事の追求である。
われわれは、自己啓発と人材育成について多くを知らない。
しかし唯一知っていることがある。人、特に知識労働者というものは、自らが自らに課す要求に応じて成長する。
自らが成果や業績とみなすものに従って成長する。
自らに少ししか求めなければ成長しない。
多くを求めるならば何も達成しない者と同じ努力で巨人に成長する。
人に成果をあげさせるには、「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わなければならない。
「何ができないか」を考えてもならない。
「何を非常によくできるか」を考えなければならない。
特に人事では一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。
強みをもつ分野を探し、それを仕事に適用させなければならないことは、人の特性からくるところの必然である。
全人的な人間や成熟した人を求める議論には、人の最も特殊な才能、すなわち一つの活動や成果のためにすべてを投入できるという能力に対する妬みの心がある。
それは、卓越性に対する妬みである。
人の卓越性は、一つの分野、あるいはわずかの分野において実現されるのみである。
確かに、多棟なものに関心をもつ者は存在する。
万能の天才といわれる人たちである。ただし多くの分野において卓越した実績のある者はいない。
レオナルド・ダ・ヴィンチでさえ、その広範な関心にもかかわらず、デザインの分野で業績を残しただけである。
もしゲーテの詩がすべて失われており、余技の光学や哲学の業績が残っていただけならば、百科事典の脚注にも値しなかったに違いない。
業績をあげるには優れた能力が必要である。
人ではなく、仕事を問題にしなければならない。
その仕事について強みをもつ者を探し、卓越性を求めた人事を行わなければならない。
ということは、人事に関しては、問題ではなく機会に焦点を合わせなければならないということである。
P・F・ドラッカー
P・F・ドラッカーのいう、卓越性の追求とは、
ランチェスター戦略でいう強みを強くすることである
ランチェスター戦略の弱者が強者に勝つ方法である、
「差別化」をするためには卓越性を追求する必要がある