ランチェスター戦略 ランチェスター法則 まとめ
ランチェスター戦略 ランチェスター法則について
1 ランチェスター戦略とは、弱者が強者に勝つためのルール
2 ランチェスター第一法則は、弱者の戦略
3 ランチェスター第二法則は、強者の戦略
4 ランチェスター法則に学ぶ! 3つの戦い方のセオリー
5 大企業=強者、小さい会社=弱者というわけではない
6 弱者の戦略、強者の戦略 5大戦法
7 弱者の基本戦略は、他と差別化すること
8 ランチェスター戦略方程式の重要な比率は2:1
9 市場占拠率・シェアの目安は73・9%、41・7%、26・1%の3パターン
10 射程距離=3:1の原則は、逆転が困難な比率
11 ランチェスター戦略3つの結論、1位とNO1の違い
12 ナンバーワンにならないと生き残れない
13 競争目標と攻撃目標をわける(足下の敵攻撃の原則)
14 一点集中主義でいく
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1 ランチェスター戦略とは、弱者が強者に勝つためのルール
ランチェスター戦略とは小が大に勝つコツ
ランチェスター戦略とは、一言でいうと弱者が強者に勝つための戦い方のルールです。
ランチェスター戦略は、
①ランチェスター法則と②ランチェスター戦略方程式から
作られた販売戦略・競争戦略のこと
ランチェスター法則とは
1868年ロンドン生まれのエンジニア、フレドリック・W・ランチェスターが、
第一次世界大戦の時に導き出した戦い方の法則です。
「戦闘力は、兵力の質と量の積」で表される
それが、第二次世界大戦の際に、ランチェスター戦略方程式として進化発展しました。
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2 ランチェスター第一法則は、弱者の戦略
ランチェスター法則は、とてもシンプルです。
たった二つの項目(質と量)により、
たった二つの法則(第一法則と第二法則)でできています。
この第一法則と第二法則は、全く逆の状況を仮定しています。
ランチェスター第一法則は、
局地戦、接近戦、一騎打ち(1対1の戦い)の場合に当てはまる戦闘力の法則です。
互いに刀を持って戦うような、極地で接近して一騎打ちをする場合は、
戦闘力=武器効率(質)×兵力数(量)となります。
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3 ランチェスター第二法則は、強者の戦略
ランチェスター第二法則とは、
広域戦、遠隔戦、確率戦(集団対集団の戦い)の場合に当てはまる戦闘力の法則です。
つまり、互いにマシンガンやミサイルを持って戦うような、
広域で、遠隔地で、多人数どうしで戦う場合では、
戦闘力=武器効率(質)*兵力数(量)の二乗となります。
先ほどと同じA軍(5名)B軍(3名)で、
マシンガンの武器効率(質)が同じなら、
戦闘力は兵力数(量)の二乗に比例するので
A軍(5名)が5-1=4名を残して勝ちます。
ここでも結論として兵力数が多い方が勝つ、
それも数が多い方が圧倒的に勝つことになります。
つまり、数が少ないほうは、ランチェスター第二法則が適用される、
広域戦、遠隔戦、確率戦(週団体集団の戦い)では戦ってはならない。
なぜなら、戦えばコテンパンにやられてしまうからです。
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4 ランチェスター法則に学ぶ! 3つの戦い方のセオリー
ここまでお話しした、
ランチェスター第一法則、第二法則からわかることは3つ
①数の多い方が常に有利、数の少ない方は常に不利、勝負は力関係で決まる
②数が少ない方は、第一法則に従った戦い方をすること
③数の多い方は、第二法則に従った戦い方をすること
ランチェスター第一法則は、
局地戦、接近戦、一騎打ちの場合、
つまり、狭い、近い、1対1の戦いに当てはまり、
弱者の戦い方であるということです。
ランチェスター第二法則は、
広域戦、遠隔戦、確率戦の場合、
つまり、広い、遠い、集団対集団の戦いに当てはまり、
強者の戦いであるということです。
ここで大切なことは、
ランチェスター第二法則が適用される広域戦、遠隔戦、確率戦の場合は、
兵力数が二乗になるので数の多い方が圧倒的に有利になってしまうので、
弱者は第二法則で戦ってはならない、
第一法則で戦う、ということです。
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5 大企業=強者、小さい会社=弱者というわけではない
ふつうは大きな会社が強者、小さな会社が弱者と考えますが、
ランチェスター戦略では違います。
強者とは、企業同士が競合する局面において、市場占拠率1位の企業のこと。
弱者とは、同じ競合する局面において、
市場占拠率1位以外のすべての企業のことです。
つまり、ランチェスター戦略では、
競合局面における市場占拠率(シェア)によって、強者と弱者を区別するのです。
競合局面とは、
①地域(どこの)
②顧客(だれに)
③商品(何を)
④流通(どう)
という4つの視点です
このように細分化した切り口(視点)で考えることが大切です。
たとえば、ある地域のシェアだけで見れば、
小さな会社が1位(強者)で、大企業が2位(弱者)の場合もあります。
企業規模の大小だけが重要ではない。
ここが、ランチェスター戦略が中小企業に勇気を与えてくれるところです
事例として、キリンビールはビールではナンバーワン
しかし、商品ではアサヒスーパードライがナンバーワン
そして、北海道という地域ではサッポロビールがナンバーワン
つまり、商品や地域を絞ればナンバーワンになれるということです
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6 弱者の戦略、強者の戦略
弱者と強者では戦い方が全く違う! 弱者と強者の5大戦法をチェック
ランチェスター戦略に従えば、弱者の戦略と強者の戦略では戦い方が違う
弱者(2位以下)と強者(1位)では戦い方が、全く180度違うことになります。
そして、弱者の戦略、強者の戦略、それぞれの基本戦略はこれです。
弱者の基本戦略は、【差別化】戦略=強者とは違う差別化した戦略をとること
強者の基本戦略は、【ミート】戦略=弱者の戦略に合わせて同じことをすることです。
弱者も強者もそれぞれ、この基本戦略をベースとして、次の5大戦法があります。
弱者は、①局地戦、②接近戦、③一騎打ち、④一点集中、⑤陽動戦
強者は、①広域戦、②遠隔戦、③確率戦、④総合戦、⑤誘導戦となります。
中小企業の90%以上は弱者(2位以下)でしょう。
ですから、弱者の戦略をとることです
ランチェスター第一法則に従って【差別化】戦略をしたうえで、
①局地戦、②接近戦、③一騎打ち、④一点集中、⑤陽動戦の戦法をとることです。
弱者の戦略をとらずに、強者の戦略をとると失敗します
弱者がランチェスター第二法則が適用される広域戦で戦うと、
戦闘力が兵力数の二乗に比例するので大きな損害を受けることになってしまうからです。
弱者が強者の戦略をとらないことです
弱者には弱者の戦略、強者には強者の戦略があります
企業事例
旅行会社ではJTBがダントツNO1です
HISは創業当時より海外格安航空券に一点集中してナンバーワンになりました
あれもこれも手を出すのではなく、
初めて海外に行くなら安くいきたいという若者向けに
海外格安航空券を販売することで小さな領域でナンバーワンとなったのです
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7 弱者の基本戦略は、他と差別化すること
差別化の視点は、マーケティングの4P+サービス+地域の6つあります。
①製品(Product)=一つの商品に機能を足す、引く、分けるなど
②価格(Proce)=3つ買うと1つ無料!(お土産屋さんでよくあります)
③流通(Place)=直接販売と間接販売、WEBの組み合わせを工夫する
④プロモーション(Promotion)=販売促進のメッセージの工夫(わが社だけです)
⑤サービス=アフターサービスをつける、メンテナンス無料など
⑥地域=半径30分以内の地域だけ対応(00町を担当しています)
弱者が差別化をする時には、これらを組み合わせてください。
他社より価格を1円安くしただけでは差別化になりません。
できたら3つ以上組み合わせることです。
たとえば、製品を二つ組み合わせて、価格を少し安くして、
アフターサービスをつけたものを、地域限定、期間限定で売る
というような組み合わせの差別化戦略です。
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8 ランチェスター戦略方程式の重要な比率は2:1
第二次大戦時に作られたランチェスター戦略方程式のポイントは、
ランチェスター法則の武器効率(質)の部分にあたる戦闘力を
「戦略力」と「戦術力」に分けたことです。
「戦略」とは目に見えないもの、全体計画であり、
「戦術」とは目に見えるもの、具体的な武器、作業のことです。
そして、最小の損害量で最大の成果をあげるためには、
戦略力:戦術力=2:1
が最適であると結論づけました。
戦略の比率は戦術の比率の倍なので、どんなにいい戦術(武器)を持っていても、
戦略が間違っていると成果が上がらないということになります。
たとえば、釣りをする時に、どんなにいい竿(武器)を持っていても、
計画(=戦略)を間違えて魚のいない場所(時間)を選べば魚が釣れないのと同じです。
この戦争で使われた考え方をビジネスに活かし、市場競争力の視点から、
「市場占拠率(シェア)の目標数値の設定」という考え方が生まれたのです。
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9 市場占拠率・シェアの目安は73・9%、41・7%、26・1%の3パターン
ここでランチェスター戦略方程式から市場占拠率・シェアが導きだされます。
ランチェスター戦略ではシェアの考え方を重視します
その中で、ポイントとなる3つの数字がこれです。
1. 73・9%=上限目標値=圧倒的NO1、2位が逆転不可能なシェア
2. 41・7%=安定目標値=ほぼ一人勝ち、ホンモノのNO1の目標値
3. 26・1%=下限目標値=強者の最低条件、当面のNO1目標値
この3つの数字を正確に覚えるのは大変なので、
カンタンに覚える方法があります。
それは、
①が3/4の約75%、
②が40%、
③が1/4の25%
と大ざっぱに覚えることです。
イメージでいうと、
①が時計の3時、
②が時計の5時、
③が時計の9時となります。
つまり、シェアを円グラフで書くと、はじめの目標は
時計の3時=25%、
次の目標が時計の5時=40%、
最後の目標が時計の9時=75%と覚えておいてください。
まずは、小さな市場、小さな商品など
小さなところから積み上げていってください。
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10 射程距離=3:1の原則は、逆転が困難な比率
ランチェスター戦略の重要な考え方の一つに、この射程距離理論があります。
この射程距離理論はランチェスターシェア戦略がベースにあります
前の時計をもう一度見てください。
1位が①73・9%(上限目標値)と圧倒的NO1になると、
2位は③26・1%(下限目標値)までしかシェアが取れません。
時計でいうと、
1位が9時(3/4)までシェアをとると
2位は3時(1/4)までしか取れない。
この比率が3:1となる。
だから相手との力の差が3:1になると
逆転は困難であるということを表しています。
射程距離理論は、ランチェスター法則の2つの場合と同じく局地戦と広域戦があり、
1局地戦=狭い範囲(エリア)、単品、小さい市場でのシェアでは【3倍】
2広域戦=広い範囲(エリア)、全商品、全国市場でのシェアでは【1・7倍】
が適用されます(広域では二乗法則が適用されるのでルート3=1・7となります)。
局地戦では3倍と覚えておくといいと思います。
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11 ランチェスター戦略3つの結論、1位とNO1の違い
ランチェスター戦略における重要な結論が3つあります。
①ナンバーワン(NO1)主義
②足下の敵(そっかのてき)攻撃の原則
③一点集中主義の3つです。
ランチェスター戦略では、NO1の意味が一般的な使い方とは違います。
普通、NO1と1位は同じ意味で使いますが、ランチェスター戦略では、
NO1とは2位を射程距離圏外に引き離しているダントツの1位のことです。
2位より売り上げが10円だけ多いというような、
なんちゃって1位ではランチェスター戦略ではNO1とは言えないのです。
ランチェスター戦略では、目指すものがNO1。
つまり、2位に局地戦では3倍の差をつけて、
圧倒的に勝つダントツのNO1を目指すのです。
ここが最も大切なところの一つになります。
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12 ナンバーワンにならないと生き残れない
前に紹介したランチェスター戦略の3つの結論の中でも、
もっとも重要な項目、一番目の項目がこのナンバーワン(NO1)主義です。
まやかしの1位ではなくホンモノの1位=NO1とは、
市場シェアが41・7%=安定目標値=ほぼ一人勝ちの状態であり、
局地戦では3倍、広域戦では1・7倍のシェア差を二位とつけているような
ダントツの状態を指します。
また、弱者がNO1になるには、なりやすい順序というものがあります。
それは①エリア②顧客③商品の順です。
例えば、世界一の精巧な商品をゼロから作りより、
その商品を限られたエリアで販売してNO1になる方がやさしいと思いませんか?
それがつまり、NO1になるには、商品よりエリアでなる方が簡単ということです。
ビジネスではNO1以外は生き残れません。
だから突然大きな範囲を狙わずに、
小さなエリア、小さな商品、何でもいいから小さなNO1を積み重ねることです。
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13 競争目標と攻撃目標をわける(足下の敵攻撃の原則)
NO1になるための方法がこの、競争目標と攻撃目標をわけるです。
弱者が強者に勝つための大切な考え方です。
競争目標と攻撃目標とはどんなものかというと、
①競争目標=自分より上位の相手→戦い方は差別化戦略(違うことをする)
②攻撃目標=自分より下位の相手→戦い方はミート戦略(同じことをする、合わせる)
となります。
このことをカンタンに言うと、「勝ちやすきに勝つ」ということです。
強者に戦いをのぞまない。
負ける戦いをしない。
強い相手からは逃げるということです。
「怖気づくな、正面突破をせよ!」というのは勇ましいのですが、
強い相手とむやみに戦えば、負ける可能性が高いのです。
戦い方を間違えれば、
優秀な人材が豊富な大企業の子会社でさえも、赤字になったりします。
その理由は、競争目標と攻撃目標が混ぜこぜになったまま、
無計画に思いつきで経営をするためです。
「えいやーっ」だけではうまくいきません。
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14 一点集中主義でいく
競争に勝つには選択と集中が大切です。
どこを選択するかというと、当面の攻撃目標です。
攻撃目標を一つに絞り、そこに力を一点集中させることです。
攻撃目標は
①どこ
②だれ
③なに(①地域②顧客③商品)
の3つの視点があります。
特にいいことに一点集中してください。
いい地域、いい顧客、いい商品に一点集中して成果を出すことです。
「他社の3倍やる」ことを目標にしてください。
弱者に限って手を広げたがるものですが、弱者は手を広げないことです。
あれもこれもやりたくなる誘惑に負けないことです。
力を分散させればどうしても力が弱くなります。
同じ経営資源が有効に活用されません。
一点集中するとは「やらないことを決める」ことです。
「小さくする」「絞り込む」ことです。
営業範囲を広げない、小さく、狭く、いいエリアに絞り込むことです。
いい顧客にいい商品だけを提供すると、
いい結果が出ると覚えておいてください。
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【ランチェスター戦略のまとめ】
ランチェスター戦略とは、①ランチェスター法則+②ランチェスター戦略方程式
ランチェスター法則とは、①ランチェスター第一法則②ランチェスター第二法則
【ランチェスター第一法則】とは、戦闘力=武器効率*兵力数
局地戦、接近戦、一騎討ち(1対1の戦い)の場合に当てはまる「一騎討ち」の法則
【ランチェスター第二法則】とは、戦闘力=武器効率*兵力数2(二乗)
広域戦、遠隔戦、確率戦(集団対集団の戦い)の場合に当てはまる「集中効果の法則」
【弱者と強者の定義】
強者とは、競合局面において勝っている市場占有率1位の企業
弱者とは、競合局面において負けている市場占有率1位以外のすべての企業
【ランチェスター戦略モデル式】「戦略力」:「戦術力」=2:1
「市場占有率の目標数値の設定」
①73.9%=上限目標=は約75%=3/4
②41.7%=相対的安定値=①の60%、③の1.7倍
③26.1%=下限目標=約25%=1/4
【射程距離理論=3:1の原理】=75%:25%=3:1より導き出される
【ランチェスター戦略3つの結論】
①ナンバーワン(NO1)主義 NO1とは1位で2位を射程距離外に離していること
②競争目標と攻撃目標を分ける(足下の敵攻撃の原則)
③一点集中主義
弱者の5大戦法①局地戦②接近戦③一騎討ち④一点集中⑤陽動作戦
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社長のあなたへ! 経営を良くするなら、こちら
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